【冬至(とうじ)の自然と東洋医学】一陽来復の冬至からはじめる「光を感じる養生法」

冬至のイメージ。北海道の雪原に立つ楡(にれ)が、夜明けの日の光に照らされている

2025年12月22日~2026年1月4日は、冬の4番目の節気である「冬至(とうじ)」
再び日が伸びはじめることから「一陽来復(いちようらいふく=太陽が復活する)」といわれ、また東洋医学の視点で見ると「陽気を育てる季節」でもあります。
陽気とは自然界にも体の中にも存在する熱エネルギーで、この時期から体内の陽気を少しずつ育てることが、春先の健康にもつながることに。
そんな春の準備にもなる冬至の時期の養生法について、国際中医師・国際薬膳師の筆者がご紹介していきます。

<前の節気>大雪(たいせつ) 2025年12月7日~12月21日
<次の節気>小寒(しょうかん) 2026年1月5日~1月19日

冬至は1年で最も長い夜を越え、太陽が復活する季節

伊勢神宮の内宮入口、五十鈴川にかかる宇治橋では、冬至になると鳥居の真ん中から昇る朝日を拝むことができます。

2025年12月22日は、1年で一番夜が長い「冬至(とうじ)の日」。そしてこの日から2026年1月4日までが、二十四節気(にじゅうしせっき)の冬の4番目の節気である「冬至」となります(※)。

ここまでの数週間は、夜が長い、深い闇が続く日々でしたが、冬至の日を境に少しずつ昼が長くなり、光をとり戻していきます。そのため冬至は古来より「一陽来復(いちようらいふく=太陽が復活する)」といわれ、希望や再生、明るい未来が訪れる節目として祝われてきました。

※「冬至」とは一般的に1年で一番夜が長い日をさしますが、次の節気である小寒(しょうかん)までの約2週間も「冬至」と呼ばれます。当ブログでは前者を「冬至の日」、後者を「冬至」と呼んで区別します。

初日の出を拝む風習があるお正月も含まれる冬至。太陽との縁が深い節気です。

陰極まって陽となる ── 冬至は「陽気を育てる季節」

冬至は光輝く季節のはじまりとなる節気です。

冬至の日はよく「陰極まって陽となる」ともいわれます。夜が最も長くなることを「陰が極まる」と表現し、そこから徐々に昼が長くなることを「陽となる」と表現したものですが、これは元来、東洋医学の基本理論でもある陰陽論にもとづいた言葉なのです。

「陰極まって陽となる」をより東洋医学的に表現するなら、「陰気が満ちて陽気が生まれる」。陰気とは静かで暗くて冷たい「夜」のような力のことであり、陽気とは活発で明るく熱い「昼」のような力のこと。自然界にも人間の体の中にも陰気と陽気が存在し、人間の体の場合、陰気とは水分や栄養分であり陽気とは熱やエネルギーであるということができます。

立冬→小雪(しょうせつ)→大雪(たいせつ)という夜が長い季節を通じて、自然界にも私たちの体の中にも陰気がどんどん満ちていきました。そして冬至の日に陰気が満タンになると、そこから陽気が生まれはじめます。まるでたっぷり水を与えられた種から芽が出るように。

陰気がなければ陽気は生まれません。闇深い季節を経なければ、光輝く季節はやってきません。長い夜を越えて太陽が帰ってくる冬至は、陽気が生まれる季節であり、その陽気を育てる季節なのです。

光の変化が、体の中の陽気を呼び覚ます

冬至前後になると植物は光の変化を感じとり、地下の根で春の準備をはじめます。

では、冬至の時期に「陽気を育てる」とはどういうことなのでしょうか。自然をお手本にして考えてみたいと思います。

多くの植物(温帯の落葉樹や多年草など)は秋から冬にかけて休眠状態となりますが、寒い時期を重ね、冬至を迎えて徐々に日が長くなっていくと、日照時間の変化を感じとり、春の芽吹きに備えてゆっくりと準備をしはじめます。地上の幹や枝は休眠状態のままですが、地下では根や地下部に蓄えていたデンプンを、春に向けて使いやすいように糖の形に整えはじめるのです。わかりやすく例えるなら、冬の間に蓄えておいた固形燃料を、春になったらすぐに点火できるように燃えやすく溶かしておくような作業。こうして植物は冬至の頃から地下の根を少しずつ活動させて、陽気を育てはじめているのです。

一方、人間の体の中で植物の根にあたるのは、五臓「腎(じん)」。人体の生命力を貯蔵する“蔵”のような場所で、体全体の水源・栄養源となる「腎陰(じんいん=腎の中の陰気)」と、体全体の熱源となる「腎陽(じんよう=腎の中の陽気)」を蓄えています。

冬はこの腎の働きが活発になるのですが、立冬から大雪までは主に「腎陰を蓄えること」がその働きの中心でした。しかし冬至以降は、その蓄えた腎陰をもとに「腎陽を育てること」が腎の働きの中心となります。さきほどの例えでいうと、腎陰が固形燃料で、腎陽はそこから作られる溶かした燃料のようなもの。この腎陽が春からの伸びやかな発散のエネルギー源となり、ストレスやゆらぎなどの春の不調をやわらげる力にもなります。

植物は日が長くなることに反応して、地下の根で陽気を育てはじめます。同じよう私たちも、冬至以降は徐々に日が伸び、日が高くなり、明るくなっていくことを心と体でしっかり感じていきましょう。それが、腎の中の陽気を育てるための大きな力となります。

冬至の養生法:「太陽の復活」を心と体に認識させる

日々、太陽が少しずつ明るくなるのを感じる⋯⋯それが冬至の最大の養生法です。

冬至から陽気を育てるといっても、エネルギッシュに活動しなければならない⋯⋯ということは決してありません。まだまだ圧倒的に夜が長く、大雪に引き続き静かに過ごすのがいい季節です。

では、冬至の養生とはなにかというと、「光の変化を感じること」。太陽を見つめ、日光を浴びて、ほんの少しずつでも「日が伸びはじめた」「太陽が高くなりはじめた」「明るくなりはじめた」と感じることで、脳から腎へとその情報が伝わって陽気を呼び覚ます助けとなります。
特に次のような養生法を実践すると、太陽のリズムの変化に腎が反応して、腎陽を育てる後押しとなります。

◉毎朝同じ時間に起きて空を観察する
冬至の時期の日の出時刻は、地域差がありますがおよそ6時台後半~7時台前半。この日の出時刻の少し前~1時間以内に起床時間を設定し、毎朝同じ時刻に起きるようにしましょう。起きたらまずは窓辺へ行ってカーテンを開け、朝の空を観察し、空の色や日差しの角度、気分や体調などをひとことメモ。毎日同じ時間にメモをしつづけることで、「同じ時間なのに明るさが違う」などの光の変化に気づきやすくなります。できれば起床後に朝の散歩を10〜20分行うと、冬至以降のわずかな日差しの伸びをより実感しやすくなります。散歩は体を冷やさない範囲内で、無理のない日だけでOKです。

◉昼の空を見上げ、影の長さを観察する
太陽が最も高くなる昼(正午~14時頃の間)の空を見上げましょう。太陽を直視するのではなく、空の明るさを広く見るようなイメージで。できるだけ遠くを見るようにしてください。可能であれば外に出て1~2分歩き、影の長さを観察すると、日の長さの変化をとらえやすくなります。

◉夜は暗めの部屋で過ごす
日没後は部屋の照明を明るくしすぎないように、照度を落としましょう。明るすぎない夜を過ごすことで、朝の光をより鮮明に感じられるようになります。

根菜類をよく食べる
植物の根が少しずつ活動しはじめるこの時期は、根菜類をよく食べてその“根の力”をいただきましょう。根は植物にとって養分をため込む“蔵”のような場所。立冬の記事でもご紹介したように冬は「閉蔵(へいぞう)」の季節であり、養分がストックされた根菜類を食べることはこの季節に最適な養生となります。ごぼう、にんじん、れんこん、大根、かぶ、さといも、ながいもなどがおすすめです。

大雪の記事でご紹介した静かな夜を過ごす養生法も、ぜひあわせて実践してみてください。夜の暗さと朝の眩しさを日々感じることが、心身の健康を整えることにつながります。

参考文献:国立天文台HP 暦計算室 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/
画像素材:Adobe Stock、Envato

著者プロフィール
TSUBO

国際中医師・国際薬膳師
東洋医学ライター

広島生まれ、東京育ち。2019年より広島県在住。
大学卒業後、雑誌・書籍・WEBコンテンツの編集者をへて、国際薬膳師、国際中医師の資格を取得。現在は「自然と人体のつながり」をテーマに東洋医学ライターとして活動中。

宝島社「大人のおしゃれ手帖WEB」(https://osharetecho.com/writer/50786/)にて「更年期の養生」を連載中。

TSUBOをフォローする
季節と東洋医学
TSUBOをフォローする
タイトルとURLをコピーしました