
依然として厳しい寒さが続きますね。
しかし、だんだんと空が明るくなってきました。太陽の光が少しずつ強くなってきました。
冬は終わり、寒さは底を打ちました。
長かった夜は明けて、ここから少しずつ、春が芽吹いていきます。
2026年2月4日~2月18日は二十四節気(にじゅうしせっき)の「立春(りっしゅん)」。
春の陽気が立ち上がるとき、春のはじまりです。
二十四節気は、季節と人とのつながりを強く密接にしてくれる暦。
その最初の節気である立春から、自然をお手本に、自然に寄り添う「二十四節気養生」をはじめてみませんか?
<前の節気>大寒(だいかん) 2026年1月20日~2月3日
<次の節気>雨水(うすい) 2026年2月19日~3月4日
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立春は「体の奥からエネルギーが湧き上がる季節」

1年を約2週間ずつ、24の節気に分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」。
「立春(りっしゅん)」はその最初の節気であり、春のはじまり。2026年は2月4日~2月18日までとなります。
とはいえ、外はまだまだ極寒。春の気配などまったく感じないというのが大方の感覚でしょう。
一方でこの時期になると、無性に新しいことを始めたくなったり、なにかを学びたくなってきたり、文学やアートなどに触れたくなってきたり、体を動かしたくなったり⋯⋯そんな人が多くなるかもしれません。
まるで体の奥で、なにかがうごめき出すかのよう。
冬の間じゅう内に秘めてきた力がうずき、胎動する感覚。
それこそが、春の訪れのサインです。
少し前までは怠けたがっていた心や体が、自然と前のめりになりはじめる。
アップテンポめな音楽が聴きたくなる。
しばらく休んでいた運動を、そろそろ再開しようかな⋯⋯という気分にもなってくる。
頭では春を認識していなくても、本能が自動的に反応して、心や体が勝手に外へと連れ出される。
この時期になるとそんなふうに、体の奥深い場所からエネルギーが湧き上がってくるのを感じられるのではないでしょうか。
春は、体の内側からやってくるのです。
春が「スプリング(spring)」と呼ばれる理由

自然の世界に目を向けると、立春の頃には冬の間じゅう地中にたまり続けていた地下水が満タンの状態になっていて、今にも地上へとあふれ出しそうなほどに水圧が高まってきます。
そして地上では、日光の量が増えて大地の温度が徐々に上昇。地温(土の温度)は「大寒(だいかん=2026年1月20日~2月3日)」の頃に最も低くなりますが、立春になると高まりはじめてほどなく地温5℃に達します。すると、冬眠状態だった樹木が土のぬくもりを感じて眠りから目を覚まし、活動しはじめるのです。
冬眠から目覚めた樹木は、はちきれんばかりにたまった地下水を根から猛烈な勢いで吸収。すると、高まっていた地下水の水圧がバネのように一気に弾け、上へ上へと湧き上がりはじめます。その湧き上がる水圧と、木の根による吸引力によって、地下水は何メートルも上の木の頂上まで垂直方向にに押し上げられ、枝先まで押し出されていきます。すると枝先に強い水圧がかかり、つぼみ状の冬芽が押し破られ、これが芽吹きの力に。
つまり、春の芽吹きは地下から湧き上がる水のバネのような圧力が源。
「春」の英語表記が「泉」や「バネ」と同じ「スプリング(spring)」なのも腑に落ちますね。
ちなみに「春」を「はる」と呼ぶのも、草木の芽がふくらんで「張る」ことに由来しているのだとか。そして「春」という漢字は中国で生まれたものですが、これも太陽の光を浴びて草木が芽を出す様子を表しています。国が違い言語が違っても、春の語源は同じ「芽吹き」。湧き出す力が春を象徴すると感じるのは、万国共通の感覚なのかもしれません。
春は「spring」の力を生む「肝(かん)」の季節

春になると現れる、奥深い場所から湧き上がる「spring」の力。
私たち人間の体も自然界の芽吹きのように、春になると体の奥から「spring」の力が発生します。
それは「五臓(ごぞう)」の「肝(かん)」の働き。もう少し具体的にいうと、肝の「疏泄(そせつ)」と呼ばれる働きです。
五臓とは、人体の生理機能を大きく「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」の5つに分類する東洋医学の基本理論。五臓は季節とも関連があり、肝は春、心は夏、脾は梅雨、肺は秋、腎は冬に活動が活発になるとされています。
つまり、春は肝の働きが活発になり、その肝の疏泄によって自然界の芽吹きのように体の奥から「spring」の力が生まれる、ということ。
疏泄は、冬の間に腎に蓄えた力をエネルギーに変えて、上向きに押し上げ、外向きに発散します。
まさに冬の間に地中に蓄えられた地下水が、木の根から上向きに押し上げられ、芽吹きの力として外向きに発散されるのと同じ。
人は朝目覚めると背伸びをしてエネルギーを上向き・外向きに発散しようとするように、冬の眠りから目覚めた体は、体を伸びやかに動かして疏泄を促し、エネルギーを上向き・外向きに発散することが季節の養生となるのです。
なお、冬に蓄えられる地下水と腎の話については、大寒(だいかん)の記事でも詳しく触れています。
立春の養生法:肝の「spring」の力をのびのびと発散させる

立春の養生のテーマは「肝の『spring』の力をのびのびと発散させる」こと。つまり体を伸びやかに動かして疏泄を促し、エネルギーを上向き・外向きに発散して「芽吹き」をサポートすることです。
このテーマにもとづく養生を実践するうえで注目したいのが、二十四節気をさらに細かく分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」です。
七十二候は、ひとつの節気を約5日ずつ「初候」「次候」「末候」の3つの期間に分けた暦で、気象や動植物の生態の変化にもとづいているのが特徴。立春という約2週間の短い期間の間にも季節の変化があり、その美しい変化のグラデーションを高解像度で教えてくれるのが七十二候なのです。
そこで立春の養生法も、次のように「初候」「次候」「末候」の3つの期間に分けてご紹介したいと思います。
◉2月4日~2月8日⋯⋯【初候】東風解凍(はるかぜこおりをとく)
春風が氷を溶かしはじめる頃です。
地下水が湧き上がるためには、まず出口を塞いでいる氷をとかさなければなりません。私たちの体も、冬は寒さや乾燥から身を守るために体表面を収縮させ、毛穴を固く閉じていました。まずはその毛穴を開いて閉じていた扉を開け、エネルギーを発散する出口を開けていきましょう。毛穴を開いて体表面の軽い発汗を促す、しょうが、ねぎ、みょうが、三つ葉、大葉など(「辛温解表類(しんおんげひょうるい)」と呼ばれる食材)を、味噌汁や温かい食事に少し多めに加えるといいでしょう。
◉2月9日~2月13日⋯⋯【次候】黄鶯睍睆(うぐいすなく)
うぐいすのオスが「ホーホケキョ」とさえずりはじめる頃です。
この時期からはじまるさえずりは、繁殖期を迎えたオスからのラブコール。
そんな春めいたうぐいすになった気分で、ファッションに春らしい色をとり入れて出かけてみましょう。きれいな色を目で楽しむこと、そしてファッションにとり入れて他者と積極的にコミュニケーションをはかることが、肝の疏泄を活性化させる呼び水となります。
コロンを身につけるなら、柑橘系の香りがおすすめ。
◉2月14日~2月18日⋯⋯【末候】魚上氷(うおこおりをいずる)
とけはじめた氷の間から魚が跳ね上がる頃です。
魚が氷の割れ目から飛び上がる様子は、まさに「spring」そのものの躍動感。私たちも体の奥底から湧き上がるエネルギーを、体のてっぺんまで上昇させていきましょう。
体の側面(わき腹)には、肝の疏泄の力で上昇するエネルギーの通り道があります。この通り道をエネルギーがスムーズに上昇できるように、わき腹のストレッチを行いましょう。両手を組んで真上に高く突き上げ、そのまま左右にゆっくりと体を倒して、わき腹を伸ばします。飛び上がる魚をイメージしながら上体を大きく曲げてストレッチすれば、気分までもが躍動的になっていくことでしょう。
肝の疏泄を促すことは、春に最も多いストレスが原因の不調を予防するうえで不可欠です。
七十二候の日付通りに養生法を実践するもよし、気分に合わせて自由に養生法を選ぶのもよし。外向きに動き出す心と体を後押しするような気持ちで、養生法をとり入れてみてください。
<追伸> 広島の立春(2026年2月13日)

広島市の海老山(かいろうやま)にある桜の木です。
海老山はこのあたりでは桜の名所として知られているのですが、当然ながらこの時期は花も葉も皆無。しかし、枝先のつぼみがかすかに膨らんでいるのがわかりますね。

立春以降徐々に気温が暖かくなり、今日は最高気温が14℃と3月中旬並の暖かさになりました。春の陽気が立ち上がり、桜の木もその内側では地下水を猛烈に押し上げる「芽吹き」の力、「spring」の力が発動しています。つぼみがわずかに膨らんでいるのは、その水分が枝先まで届き始めているからなのでしょう。

現在は陸続きの場所にある海老山ですが、もともとは瀬戸内海に浮かぶ島だったという説もあります。その海老山にはかつて海老山城という毛利軍のお城があったといわれていますが、この見晴らしのよさ、お城があって当然のロケーションですね。
空が少しかすんでいるのは、まさに春の陽気を象徴する「春霞(はるがすみ)」によるもの。陽気の上昇によって大地の水分が立ち昇り、大気中に水分が増えていることを示しています。立春を迎えた今、私たちの体内でも同じように、肝の疏泄によって上向きのアクティブなエネルギーが湧き出しているのです。
参考文献:国立天文台HP 暦計算室 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/
画像素材:Adobe Stock、Envato、Canva
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