【暦とからだ|清明】視界が冴え、計画力・決断力を高める好機の季節(スマホ・PC壁紙付)

二十四節気「清明」のイメージ。青空の下に広がるマーガレットが咲く花畑を見晴らす女性

2026年4月5日~4月19日は二十四節気(にじゅうしせっき)の「清明(せいめい)」。その名の通り、日が高くなり長くなってきたことから、景色が清く澄みまぶしく輝いて見える季節です。窓から差し込む光も、一段明るくなるのを感じられるでしょう。
見晴らしがよくなることから、動物や植物の間では視覚を介した駆け引きが活発になり、同時に人間の視覚も冴えてくるとき。目の養生をして視力のケアをするのにも、最適なタイミングです。

加えて東洋医学では、目の情報収集力は計画力や決断力と生理的に連動していると考えられています。視力のケアをすることは、計画力や決断力を高めて、精神的なモヤモヤや迷いやすさ、視野の狭さ、臆病さなどを克服することにもつながるのです。

ここでは東洋医学にもとづいて、清明の自然と人間の体のつながりを独自の視点で探り、季節と調和して自然との一体感を感じられる養生法をご案内していきます。

<前の節気>春分(しゅんぶん) 2026年3月20日~4月4日

二十四節気の清明の頃に咲くれんげそう
清明の時期に咲くれんげそう。「はちみつの王様」とも呼ばれるれんげはちみつが採れる蜜源植物でもあります。

2026年4月5日~4月19日は、二十四節気(にじゅうしせっき)の「清明(せいめい)」。清らかに明るく輝くという意味の「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」という言葉に由来する節気です。

江戸時代に発行された暦の解説書である『こよみ便覧(べんらん)』には、清明について「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」と記されているのですが、これは「すべての生物がいきいきと清らかに明るく輝き、草の芽も成長してその姿がはっきりしてくる」という意味。まさに清明とは、空気が清らかに澄み、光があふれ、草の芽が成長して大きな葉となり、木々や花々、鳥や虫たちなどのすべての生物が彩り鮮やかにきらめく季節といえます。

2026年~2027年の二十四節気表。清明は4月5日~4月19日
清明は春の5番目の節気。早いものでいよいよ晩春を迎えます。

しかしなぜ、清明は「万物が清らかに明るく輝く季節」となるのでしょうか?

清明の頃になると日がかなり高くなり、立春の頃は40度前後だった南中高度(1日で最も太陽が高くなる角度)は、60度前後まで上昇。低い位置から差していた日の光は、いつのまにか頭上から降り注ぐようになってきています。

太陽の高度が低いと、太陽光はななめに差し込み、大気中を長く通過していきます。光は通過する大気の距離が長くなればなるほど、空気中の分子や微細な水滴、ちりなどに当たって散乱しやすい傾向があるため、冬や早春は光が散乱して空気がかすみ、遠くの景色をはっきりと見晴らすことができませんでした。
しかし太陽の高度が高くなる清明の季節になると、太陽光は上方からより短い距離で地上に届くようになるため、光の散乱が減少。光の透過率が高くなって空気のかすみが晴れ、見晴らしがよくなってきます。

さらに清明の時期は、立春から2時間以上日が伸びています。光の量自体が増え、かつ透過率の高い光が降り注ぐことで、これまで暗くかすんでいた空は明るく澄み渡り遠くまで見通せるように。視界が開け、万物をはっきりと鮮やかに認識できるようになるのです。

【清明の自然】生物同士の「視覚の駆け引き」が活発に

青空を飛び回るつばめ
清明の頃に南国から日本に帰ってくるつばめ。視力がよく、高速で飛行しながらエサを捕らえます。

この季節を待ちわびていたのが、空を飛び交う鳥類。空からエサを狙う鳥たちにとって、明るい季節となったことで枯れ草の下に隠れていたトカゲやカエルなどが見つけやすくなるほか、春に芽吹いた新芽をえさとする蝶やイモムシ、アブラムシなどが爆発的に発生するタイミングでもあり、こうした草むらの小さな虫たちの発見効率も劇的に向上。捕獲活動がさかんになりはじめます。

また、多くの鳥や魚、一部のは虫類などは、万物が鮮やかに見えるこの時期になると「婚姻色」と呼ばれる異性アピールのための鮮やかな繁殖期特有の体色を身にまとうようになります。たとえばカワセミの場合、コバルトブルーの羽根の色が鮮やかになり、透過率の高い光がその羽根を美しく輝かせます。オスはこの美しい羽根の色をメスに見せることで、「自分は健康で獲物を捕る能力が高い」とアピールしていると考えられています。

コバルトブルーの羽根が輝くカワセミのオス
カワセミのオス。栄養状態がいいオスほど、繁殖期になると羽根がつややかになり鮮やかに輝きます。

色鮮やかといえば、清明はさまざまな花が百花繚乱となる季節でもあり、すみれ、れんげそう、アネモネ、ネモフィラ、さくらそう、マーガレット、つつじなどが花を咲かせます。清明の光はこうした花々の色をより鮮やかに際立たせるため、蝶や蜂などの虫たちを遠くからでも引き寄せられるように。その結果、より多くの花粉がより広範囲に運ばれるようになり、受粉率を上げることができるのです。

菜の花の蜜を吸うモンシロチョウ
菜の花は黄色い花を咲かせることでモンシロチョウなどの虫を引き寄せ、受粉を促します。

このように清明の生物界は、視界がクリアになって見晴らしがよくなることで、視覚を介した駆け引きが活発に取り交わされるようになります。食うか食われるかの攻防戦や、配偶者を獲得して子孫を残すためのアピール合戦など、視覚による知能戦が繰り広げられていくのです。

【清明の天人合一】視覚が研ぎ澄まされ、集中力・判断力・創造力が高くなる

カモミールの花と人間の視覚イメージの二重露光写真
清明は、人間の視覚が最も効率的に働く季節といえます。

東洋医学には、天(自然界)と人間は一体であり同じように変化しているという「天人合一(てんじんごういつ)」の考え方が根底にあります。
清明の季節もまたその天人合一の理論の通り、自然界で起こる視覚による知能的な活動が、私たち人間にも起こります。

清明は、人間の視覚が最も効率的に働く季節といっても過言ではありません。

その理由としてまず挙げたいのは、人間の目が最もよくとらえる黄緑色の光(約555ナノメートルの波長の光)が自然界にあふれること。清明の時期は、春分前後に芽吹いた植物の葉が開きはじめる「展葉(てんよう)」がさかんになります。開いたばかりの若葉は細胞壁が薄く水分に満ち、葉緑素の密度もまだ薄いため、光が透過。人間の目がとらえやすい黄緑色の光となります。この透過光が木々の周辺を明るく照らすために、景色全体が鮮やかに見えてくるのです。

太陽光が透過して黄緑色に輝く冬菩提樹(フユボダイジュ)の若葉
清明の時期に展葉する、ハート型の葉の冬菩提樹(フユボダイジュ)の木。若葉色の透過光が周囲にきらめきを与えます。

また、春分を過ぎて昼が夜より長くなり明るさが格段に増したことで目のピントが合いやすくなること、光の透過率が高くなって明るい場所と暗い影のコントラストが非常にはっきりしてくることなどによって、物体がシャープかつ立体的に認識できるようになり、視界が鮮明になってきます。

こうして人間の視覚認知が正確さを増していくと、脳に余計な負担がかからなくなり、集中力、注意力、判断力、思考力などが向上します。これは、くもったメガネでは文字がよく読めずに集中力を削がれるけれど、よく見えるメガネなら文字をストレスなく読めて思考に集中できるのと同じ原理。情報の80%を視覚から得ている人間にとって、視界がクリアになるということは、それだけ脳のポテンシャルを発揮しやすくなることを意味しています。新しいアイデアやクリエイティブな思考も生まれやすい季節だといえるでしょう。

【清明の東洋医学】目の視覚情報で「肝(かん)」が計画し、「胆(たん)」が決断する

東洋医学の「肝は目に開竅(かいきょう)する」のイメージ
東洋医学では、視覚は五臓の「肝(かん)」が深く関わっていると考えられています。

東洋医学には「肝は目に開竅(かいきょう)する(=肝の状態は目に現れる)」という言葉があり、視覚の正確な情報感知は五臓の「肝(かん)」にかかっていると考えられています。

目が正確にものを見るためには、まず第一に十分な量の「肝血(かんけつ=肝に蓄えられた血液)」を必要とします。さらにその肝血を目まで届けるために気をめぐらせることも必要なのですが、この気をめぐらせるのもまた肝の力。肝の「疏泄(そせつ)」という働きです。肝血がたっぷりと肝に蓄えられ、肝の疏泄によって肝血が潤沢に目へと届けられることによって、目が感知する視覚情報の解像度が向上するのです。

一方、肝は精神活動にも深く関わっていて、特に計画力洞察力を支える役割があります。肝血と疏泄が十分に機能して目が高解像度で情報をとらえることができると、その視覚情報をもとに肝が的確な計画力と洞察力を発揮できるというわけです。

東洋医学における目と肝の相関図。肝からの肝血と疏泄によって目の視覚認知が、目からの視覚情報によって肝の計画力と洞察力が発揮される。
肝からの肝血と疏泄によって目の視覚認知が、目からの視覚情報によって肝の計画力と洞察力が発揮されます。

さらに肝と関係の深い臓器に「胆(たん)」があり、決断力を支える役割があります。大胆、豪胆、胆力などの言葉がありますが、これらはいずれも「胆=決断力をになう器官」という意味で用いられているもの。胆は肝による計画力や洞察力を受けて決断を下すのですが、この胆の働きを支えるのもまた、肝の肝血と疏泄なのです。

つまり、目が正確に視覚情報を感知することによって肝の計画力や洞察力が高まり、それによって胆の決断力が発揮されるということであり、この一連の流れはすべて肝の肝血と疏泄によって支えられているというわけです。逆にいうと、肝の肝血と疏泄が十分に機能していないと、目の視覚情報はあいまいになり、肝の計画力や洞察力は見通しが甘くなり、胆の決断力にも迷いが生じやすくなってモヤモヤしたり堂々めぐりになったりしてしまうのです。

東洋医学における目と肝と胆の相関図。目の正確な情報収集によって肝が的確に計画し、胆が迷いなく決断できる。
目の正確な情報収集によって肝が的確に計画し、胆が迷いなく決断できる⋯⋯この一連の力は、肝の肝血と疏泄に支えられています。胆は肝の裏に位置しています。

春は肝の働きが活発になる季節です。そして清明は視界がクリアに開けて、視覚が最も効率的に働く季節です。この時期は、視力をサポートし、肝の計画力・洞察力と胆の決断力を高めて、迷いやすくモヤモヤした気分をすっきりさせる養生を実践するベストタイミングといえるでしょう。

【清明の養生】目の視力・肝の計画力・胆の決断力を高める食材・アロマ・ツボ

クコの実
くこの実には、肝血や肝の水分を補って視力をサポートする性質があります。

ここからは、視力をサポートして「本質を見る力」を養い、計画力・洞察力を高めて迷わずスパッと決断できるようになるための、目・肝・胆の養生法をご紹介していきましょう。

①目の養生:「杞菊茶(こぎくちゃ)」で視界をクリアに
視力をサポートしたり目の不調をやわらげたりする作用を、薬膳や漢方では「明目(めいもく)」と呼びます。明目の効能を持つ食材には次のようなものがあるので、これらをよくとってみてください。

レバー、ほうれんそう⋯⋯肝血を補って明目する
にんじん⋯⋯目の潤いを補って明目する
くこの実、あわび⋯⋯肝血の源となる肝と腎(じん)を補って明目する
菊花、桑の葉⋯⋯ストレスなどで肝にたまった余分な熱を冷まして明目する

おすすめなのは、くこの実と菊花を使った「杞菊茶(こぎくちゃ)」。視力をサポートしたいときの定番の薬膳茶で、くこの実は肝血や肝の水分を補い、菊花は疏泄を促す性質があります。

<材料(1人分)>
・菊花⋯⋯3g
・くこの実⋯⋯5g
・沸騰したお湯⋯⋯200mL

<作り方>
カップに材料を入れ、沸騰したお湯を注ぎます。5分ほど蒸らしてから飲みましょう。

クコの実のお茶
くこの実のお茶は、ほんのりと甘い味わいが楽しめます。

あわせて、1時間に1度1分間目を閉じて視覚を休ませる、決断に迷いが生じたときなどに深呼吸をしながら遠くの緑(森や山など)を見る、などの目の養生法も組み合わせると、目がリラックスできて視野が広がります。

②肝の養生:アロマヘッドマッサージで計画力をサポート

ヘッドマッサージのイラスト
頭部には肝のエネルギーの通り道である「肝経(かんけい)」と、胆のエネルギーの通り道である「胆経(たんけい)」が走行しています。

肝の疏泄を促して計画力や洞察力を高める養生法として、アロマヘッドマッサージを行いましょう。
まずはアロマオイルをブレンドします。ホホバオイルなどの植物油 10mL に対し、精油を合計 2滴(1%濃度)混ぜ合わせて使用してください。精油は次の3種類から選ぶのがおすすめです。

・ペパーミント⋯⋯肝にたまった余分な熱を冷まし、頭部や目の興奮を静めます。気をよくめぐらせて頭をスッキリさせ、集中力を高めます。
・ベルガモット⋯⋯かんきつ系の精油の中でも特にフローラルな香りが特徴で、考えが堂々めぐりをしてしまうときに柔軟な思考へと導いてくれます。
・ローズマリー⋯⋯シャープな香りで思考をクリアにし、記憶力をサポートする性質があります。論理的に計画を立てたいときにおすすめ。

頭部には肝のエネルギーの通り道である「肝経(かんけい)」と、胆のエネルギーの通り道である「胆経(たんけい)」が走行しているため、頭部をほぐすと疏泄が促され、肝の物事を見通す力が高まります。

<アロマヘッドマッサージの手順>
(1)マッサージオイルを適量手にとり、手のひらで温めてから手ぐしで頭皮にすり込みます。
(2)5本の指の腹を耳の上の側頭部に当て、ゆっくりと指先でクルクルと円を描きながら頭頂部に向かって頭皮を引き上げるようにマッサージします。
(3)両耳の上端を結んだ線と、顔の中心線が交わる頭頂部に「百会(ひゃくえ)」のツボがあります。ここを中指でやさしく押しましょう。百会は肝経の終点となる場所であり、思考の滞りをスッキリと開放するポイントです。

③胆の養生:「光明(こうめい)」と「日月(じつげつ)」のツボ押しで決断力アップ
胆経上にあるツボを押して、決断力を高めていきましょう。

(1)「光明(こうめい)」のツボ

「光明(こうめい)」のツボ

外くるぶしの一番高い場所から指7本分上(片手の指4本と反対の手の指3本を足した高さ)の骨のキワにある、目の不調に常用されるツボのひとつ。視界を明るくすることから「光明」という名がつけられています。胆経のツボでありながら肝経ともつながっているので、肝の計画力・洞察力から胆の決断力へと橋渡しとなる役割も。視覚を鮮明にし、計画の見通しもよくする助けとなるツボです。

(2)「日月(じつげつ)」のツボ

「日月(じつげつ)」のツボ

肋骨のすき間にあるツボで、乳頭からまっすぐ下がった線と一番下の肋骨が交わった場所の上にある肋間のくぼみ。決断力を高めるツボで、決断は明らか(真理)であることが求められることから、「明」を「日」と「月」に分けて日月と命名されています。胆の気のめぐりを整えて、公正な判断を促します。

おわりに

清明の自然と体とのつながりの話、いかがでしたでしょうか。
過ごしやすい気候となり、景色が美しくきらめいてくるので、外出の機会が増えてきます。人とのコミュニケーションも多くなるので、表情や身振り手振り、ファッションなど、私たちも「視覚を介した駆け引き」が活発になるときですね。

今回の記事でご紹介した目の視力・肝の計画力・胆の決断力を高める養生法をぜひとり入れていただき、今までよりも広い視野を見渡し、将来のための実践的な計画を立て、新しい一歩を踏み出す決断をするご自身をイメージしてみてください。美しい清明の自然の景色を眺めることが、その後押しとなるはずです。

また、この記事の最後で配布している壁紙(スマホ・PC用)も活用していただき、自然と体のつながりを少しでも身近に感じるきっかけにしていただけたらうれしいです。

参考文献:
国立天文台HP 暦計算室 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/
『鍼灸学[経穴篇]』(天津中医薬大学、学校法人衛生学園 編、東洋学術出版社)
『中国伝統医学による食材効能大事典』(山中一男・小池俊治編、東洋学術出版社刊)
『食薬方剤学』(本草薬膳学院刊)

画像素材:Adobe Stock、Envato、Canva

清明の七十二候(※)と月の満ち欠けがチェックできるスマホ用・PC用壁紙です。「自然とのつながり」を感じるツールとして、ダウンロードしてご活用ください。

※七十二候(しちじゅうにこう)とは⋯⋯二十四節気の各節気を約5日ずつ、3つに分けた暦で、気象や動植物の生態の変化にもとづいているのが特徴。約2週間のひとつの節気にもさまざまな変化があり、その変化のグラデーションを色鮮やかに伝えてくれる暦です。

※壁紙は個人利用の範囲でお楽しみください。無断転載・再配布はご遠慮ください。

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著者プロフィール
TSUBO

国際中医師・国際薬膳師
東洋医学ライター

広島生まれ、東京育ち。2019年より広島県在住。
大学卒業後、雑誌・書籍・WEBコンテンツの編集者をへて、国際薬膳師、国際中医師の資格を取得。現在は「自然と人体のつながり」をテーマに東洋医学ライターとして活動中。

宝島社「大人のおしゃれ手帖WEB」(https://osharetecho.com/writer/50786/)にて「更年期の養生」を連載中。

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