
2025年10月23日〜11月6日は、秋の最後の節気である「霜降(そうこう)」。
暦の上ではそろそろ冬支度をはじめる時期であり、秋から冬へのバトンタッチを意識した養生が必要な季節となります。
朝露が霜になるほど寒くなるこの時期は、体内の水分のめぐりも冷えによって停滞しがち。そこで霜降の節気は、秋に働きがさかんになる五臓の「肺(はい)」と、冬に働きがさかんになる五臓の「腎(じん)」のつながりを強くして水分のめぐりをよくすることが養生のカギ。水分のめぐりをよくすることで、この時期から現れやすくなる冷えや乾燥などの不調を防ぐことにもつながります。
そんな秋から冬へと移ろう季節の養生法を、国際中医師・国際薬膳師の筆者がご紹介します。
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<次の節気>立冬(りっとう)2025年11月7日~11月21日
<前の節気>寒露(かんろ) 2025年10月8日~10月22日
霜降は「朝露が霜となる」季節 秋から冬へと移ろうとき

2025年10月23日〜11月6日は、二十四節気(にじゅうしせっき)の「霜降(そうこう)」。
暦の上では晩秋、秋の最後の節気となりました。ひとつ前の「寒露(かんろ)」は冷たい朝露が降りる節気でしたが、霜降はその露が凍てつき、霜になるほど冷え込むという節気。体感的にはようやく秋を迎えたような感覚があるかもしれませんが、日の長さで見るとそろそろ冬支度のタイミングであり、体も秋の営みから冬の営みへと移ろうときとなりました。気温だけで季節をとらえていると、四季の変化に乗り遅れてしまいますね。

秋は五臓の肺、冬は腎の働きがさかんになる
東洋医学では、秋は五臓の肺(はい)、冬は腎(じん)の働きがさかんになると考えられています。
東洋医学の五臓(肝、心、脾、肺、腎)は、西洋医学の臓器の概念よりも広い範囲の身体機能をさしています。例えば、五臓の肺には呼吸機能に加えてエネルギーや水分を全身にめぐらせる働きなども含まれ、また腎には腎臓機能のほかに、生命力の貯蔵や全身の水源・熱源となる働きなども含まれます。
そういわれても、いまいちピンとこない⋯⋯という人も多いかもしれません。
そこで肺を「山」、腎を「海」に置き換えてイメージしてみてください。
呼吸によって常に体内に新鮮な空気をもたらし、またその呼吸運動によって体内のエネルギーや水分を体じゅうへとめぐらせるのが、東洋医学で考える肺の働きです。これは自然界に置き換えると、大気中に新鮮な酸素を供給し、風を生んでエネルギーを運び、川をめぐらせて大地を潤す山の営みに例えられます。
山から流れてくる川の水はやがて海へと注がれますが、腎の働きはこの海に置き換えることができます。地球の表面積の7割を覆う海は自然界の水源であることはもちろん、地球に届く太陽エネルギーの大部分を吸収して蓄熱している自然界の熱源でもあり、なにより生命誕生の場所。全身の水源・熱源であり生命力の源である腎の働き、そのものです。
自然界における山と海の営みが、私たちの体内における肺と腎に相当する。そう考えると、肺と腎の働きについてイメージしやすくなるのではないでしょうか。
山から海、海から山へと循環するように、水は肺と腎をめぐる

山には多くの鉱石が眠り、ミネラル(金属)を豊富に蓄えています。そしてそのミネラルが川とともに海へと溶け出し、海の生物たちを豊かに育んでいきます。
一方、海は太陽に熱せられると気化し、水蒸気が生まれて雲となります。その雲はやがて山に戻って雨となり、山の木々や動物たちを育みながら再び川の流れに。
自然界の「水循環」と呼ばれるしくみですね。
山の営みは海を育て、海の営みは山を育てる。
肺と腎も、これと同じような関係にあります。

体の上部にある肺は、体内の高い場所から霧状のシャワーを降り注ぐように、体じゅうに水分を届けています。さながら山頂付近の霧がしずくとなり、川となって大地をめぐっていくように。
体の下部にある腎には「腎陽(じんよう)」と呼ばれる体の熱源が蓄えられており、同じく腎に蓄えられている体の水源の「腎陰(じんいん)」を熱しています。腎陽に熱せられた腎陰は気化し、蒸気となって上昇して肺へと送られます。そして肺でその蒸気が再び霧のシャワーとなって全身に降り注がれ、清らかな水分が全身をめぐっていく。まさに、太陽の熱で海から蒸発した水蒸気が雲となって空に届き、山へと流れて再び雨となる自然のサイクルそのものです。
山と海とをめぐりつづける、水とエネルギー。
自然界と同じ循環が、私たちの体の中でも繰り広げられているのです。
霜降の養生:肺と腎のめぐりを活性化して冷えなどを予防

山と海のような関係の、肺と腎。
肺の季節である秋から、腎の季節である冬へと移り変わる霜降の時期は、この肺と腎のつながりを強くすることが養生のポイントとなります。
肺の働きは朝に最もさかんになり、腎の働きは夜に最もさかんになります。
そのためこの時期は朝に肺の養生、夜に腎の養生を意識して、肺から腎、腎から肺へのめぐりをスムーズに導きましょう。
朝:肺を潤し、温める養生を
朝は肺の気(き=エネルギー)のめぐりが最も活発なときです。朝起きたら、体の中では胸の内側にそびえる山に冷たい霧がかかっている⋯⋯そんなイメージをしてみてください。
◉起床後は白湯と清気(せいき)を吸い込む深呼吸
そして起きたらまず白湯を飲んで、肺を温めつつ潤しましょう。
そして窓を開けて背伸びをしながら深呼吸をして、新鮮な空気=「清気(せいき)」を肺に吸い込みます。このとき、肺の気を補って温める作用があるユーカリ、ティートリー、パインニードルなどのアロマをたくと、香りの効果で肺が開き、呼吸を深めることができます。肺から吸い込んだ清気は、全身のエネルギーとなって体じゅうをめぐり、清らかな水分を肺から体の下部へと運んでいきます。
◉朝食には白い食材をとり入れよう
朝食は、肺を潤す白い食材をよくとり入れて。やまいも、もち、白ごま、白きくらげ、松の実、チーズ、たまご、豆乳、ゆり根などがあります。また、肺を温めるくるみ、しょうがなどもおすすめです。
こうした朝の肺の養生によって、胸の奥にそびえる山から新鮮な空気が生まれ、清流が流れ出して全身を潤してゆくかのような営みがはじまるのです。
夜:腎陽を守り腎陰を満たす養生を
夜は腎の力が最も充実するときです。腎は体の中の海。腰の内側には海が広がり、その日に浴びた太陽のエネルギーが蓄熱され、月が昇る夜になると潮が満ちてゆく⋯⋯そんなイメージをしてみてください。
◉17時以降はゆったり過ごして腎の力を蓄える
腎にエネルギーを蓄えるためにはまず、17時以降は体力を消耗するような運動や過労は避けて、ゆったりと過ごすようにしましょう。
◉夕食には黒い食材をとり入れよう
夕食には、腎を養う黒い食材をよくとり入れるといいでしょう。黒豆、黒ごま、海藻類などがあります。そのほか、腎の気を補うやまいも、キャベツ、ブロッコリー、栗、うなぎ、腎陽を補うくるみ、えび、羊肉などもおすすめです。
食後や夜のリラックスタイムには、温かい薬膳茶でくつろぐといいでしょう。
私がよく飲むのは、からだを内側からやさしく温める なつめ茶(飲み方・選び方・おすすめ) です。
◉アロマバスに入浴して腰をしっかりと温める
腎は腰に位置しているので、入浴時はしっかりと湯船につかって腰をよく温めることが大切です。腎を温める作用があるジュニパーベリー、シダーウッド、ゼラニウムなどのアロマバスにつかるとより効果的。腰をよく温めて腎陽を冷えから守り、体の熱源を温存しましょう。
◉早く就寝するほど腎陰が満たされる
夜は体の水源である腎陰を養い満たしてゆく時間帯でもあります。夜の海に潮が満ちていくように、体の中の海である腎陰を満たすイメージで、体内の潤いを増やしていきましょう。日没後は腎陰を消耗しないように体を休ませてゆったりと過ごし、23時までに就寝を。早く休めば休むほど腎陰が満たされていき、翌朝にその水分をたっぷりと肺が受け取って体内にめぐらせ、体じゅうを潤してくれるのです。
体の中の海である腎。満ちてゆく波を静かにたたえた夜の海は、朝を迎えると晴れた青空に真っ白な雲を浮かべる⋯⋯そんな美しい光景が体の内側で広がる様子を思い浮かべながら、1日を終えてみましょう。
霜が降りるほどに冷え込むこれからの季節。山から海へ流れる川のように、海から山へ流れる雲のように、肺と腎のめぐりを活発にすることが冷えをはじめとする冬の不調の予防になります。体の中のめぐりを整えて、冬に備えてください。
静かな夜に寄り添う1杯を探すなら、 なつめ茶の基本とおすすめ をチェックしてみて。
参考文献:
国立天文台HP 暦計算室 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/
『中国伝統医学による食材効能大事典』(山中一男・小池俊治編、東洋学術出版社刊)
『食薬方剤学』(本草薬膳学院刊)
『中医アロマセラピー 家庭の医学書』(有藤文香著、池田書店刊)
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